トーク番組に出てくる人や講演で分かりやすい話をする人は、自分を支持してくれる多くの仲間を持っていると思う。その仲間と意思が通じているという安心感が話の展開に余裕を与えていると思える。彼は孤立の経験はあるかもしれないが、その経験を克服する経験も大いにしているはずだ。あるいは仮に孤立することがあっても十分自分は耐えられ、やり過ごすすべを知っていると思われる。つまり、一人取り残されることがあっても平気で余裕があるのである。集団の中で行われていることに距離を置きながら、静かにしていられる態度を身につけている。集団の中で自分は違和感を感じることなく、殊更目立つことをせずとも時間を共有できているという満足感がある。
そういう術をようやく70歳を越える年齢になって身につけることができた。それまでは基本的に孤独であり、話すことは苦手でぎこちなかった。この変化には貴重な経験が積まれているし、そのプロセスを分析して言語化することに価値があると思う。書くだけでなく、話すことの構文にはどのようなパターンがあるのかは自分にとって研究しがいのあることである。