6月なのにもう夏本番の暑さ。だったらもう昼は素麺で、食後はスイカだ。もちろんどちらも今年初めて。外は猛暑でもリビングは戸を開けて風を通せばエアコンなしで結構快適だった。体の調子が良かったからか、一足早い夏の空気にしばらく体を任せていた。季節の変わり目と言ってもいいくらいの環境の変化に、意識はつられて過去のそれぞれの夏の記憶の断片を浮かび上がらせてくれる。夏といえば夏休みを思い出す。と言ってもぼくの夏休みは多くの友達と遊ぶような活動的なものではなく、一人で過ごすことが多かった。一人で孤独だが自由にロマンの世界で遊んでいた。異邦人のアラブでの夏や朔太郎の竹林の蠱惑的な静寂に遊んでいた。毎朝の始まりのエネルギーは奇跡のようだった。そのように午後を夢想して過ごそうとしていたら、母からの電話で介護の現実に引き戻された。