読書会連絡協議会という地域の読書会の団体がある。ぼくは今回の能登への地震と豪雨で被害に合われた読書会のことがずっと気になっていた。被害に合われた輪島市と珠洲市と内灘町にも読書会がもちろんある。これまでぼくも会員になっているこの団体の会員の方々がどんな状況でおられるのか、連絡をとってみるところまでには至らなかった。合同読書会で顔を合わせた程度の関係で、親しい関係にまではなれていなかった。でもその中で輪島市の図書館職員の方とは、村上春樹の読者同士ということで楽しく会話できた印象が残っていた。
今日午後、その方の勤め先の輪島市図書館に思い切って電話をしてみた。すぐにそのTさんが出られ私とのことは記憶されていた。
どうですか、大変な状況だと思いますけど読書会の皆さんはお元気ですか?あ、読書会の活動は休まれているのですね。今、図書館の方は商店街のビルの一角に移転して再開しているということなんですね。輪島には二つの図書館があって、こちらの門前の方は元の場所でなんとか開いています。あのー、もしご負担でなければ、読書会連絡協議会の冊子に、そちらの今回の地震と豪雨災害の状況と図書館再開までのご苦労を書いていただくのは可能でしょうか?しばしの間があって、それだと輪島市の図書館の方がご希望に添えるかもしれません。私の上司の係長に相談してからご連絡するのでよろしいでしょうか?
30分ほどしてその上司から電話がかかってきた。私が書きますということだった。ぼくとしてはTさんに今回の体験を思うままに書いてもらおうと考えていたが、読書会のメンバーより、図書館職員という立場の方が優っていたということなのだろう。もちろん、読書会連絡協議会も半分公的な団体だから、書面で原稿依頼書を出してくださいと言われればぼくは会長に報告して、改めて書面でお願いさせていただきますと丁寧に応対し、携帯電話を終えた。